【住宅ローンの金利】の目次です
住宅ローンの金利とは
住宅ローンの金利には、固定型金利、変動型金利、固定期間選択型金利の3タイプが用意されています。
固定型金利
住宅ローンを組む際に、最初に決められた金利が最後まで続くタイプです。
全期間金利が変わらない全期間固定型(長期固定型)と、11年目に金利がアップする段階金利型があります。(11年目以降の金利もあらかじめ決められている場合がほとんどです)
金利が固定されているので、低金利の時に住宅ローンを組むと、将来金利が上昇した場合のリスクを減らせるというメリットがります。また、返済額が変わらないため、返済計画も立てやすいです。
しかし、市場の金利が下がった場合、結果的に金利負担が大きくなることになるので、市場との金利の差が大きくなる場合は、住宅ローンの借り換えなどを検討するとよいでしょう。
変動型金利
市場の金利に連動して金利が変動します。年2回 金利が見直されますが、返済額の変更は5年に1度行われます(返済額の上昇幅は最大25%まで)
金利の上限を設定した上限金利特約(キャップ)付変動型金利もあります。
低金利時期や金利が下がっている時には、金利が抑えられるというメリットがあります。
ただし、金利が急激に上昇した場合、返済金額は5年間見直されないため、上昇した金利により増えた利息が元金に組み込まれ、返済期間や月あたりの返済金額に影響を及ぼす可能性もありますので要注意です。
上限金利特約付の場合は、上限金利が決まっているため、市場の金利が上昇してもさほど影響を受けないというメリットがありますただし、最初に設定される金利は高めです。
固定期間選択型
住宅金融公庫と民間金融機関が提携した住宅ローンです。15年以上35年以下の長期固定金利型で、金利は民間金融機関が決定します。それぞれ取り扱う民間金融機関によって金利や融資額が変わります。
固定期間終了後に、固定金利か変動金利か選べるため、金利の状況に応じて有利な方を選べるというメリットがあります。
住宅ローン金利の優遇
住宅ローン金利の優遇措置は、金利の種類と同様、実に様々なものがあります。
住宅ローン金利優遇
基本的には、住宅ローン申込先の銀行で、給与振込をする・クレジットカードをつくる・カードローンをつくる・公共料金の引き落としをする・定期預金を行うなど、銀行との取引を親密にすると優遇幅が広がります。
金利優遇期間
金利優遇期間は、各金融機関により様々です。住宅ローン全期間・住宅ローン融資後当初数年間のみ・変動金利選択中のみなどがあります。
大きな金利優遇があっても優遇期間が短いものがありますので、目先の金利にこだわり過ぎることのないようにしましょう。
例えば住宅ローン返済額を計算する際に、金利優遇は住宅ローン融資後当初数年間のみという場合には、当然、当初数年間の優遇期間が終了すれば、金利優遇がなくなり、その後の資金計画が狂ってくることも考えられますので、気をつけて計算してください。
住宅ローン金利の種類と返済の種類と優遇期間の3点に注意する必要があります。
住宅ローンの金利の決まり方とは その1
民間金融機関の住宅ローンの金利は、以前は「長期プライムレート」(略して長プラ)を基準に決められていたので、どこの銀行もほぼ同じ金利になっていました。
長プラとは、「長期金利」のひとつで、銀行が優良企業に1年以上の期間で貸し出す資金の最優遇金利だったのです。
ところが19944年の夏、金融の自由化に伴い、各金融機関で独自に金利を設定するようになりました。
住宅ローンの金利には、おもに長期固定型、固定金利選択型、変動型があり、それぞれで金利の決まり方が異なります。
長期固定型や固定機関の長い固定金利選択型は、「10年物国債」の利回りに代表される長期金利に連動します。
また。変動型や固定期間の短い固定金利選択型は、一般的に「短期プライムレート」(略して短プラ)のような短期金利に連動します。
短期プライムレートとは、銀行が最優良企業に1年未満の期間で資金を貸し出す際の金利のことです。
住宅ローン金利の決まり方とは その2
各金融機関において、住宅ローンを貸し出すための資金を独自の方法で調達するケースが増えてきています。
その場合、金融機関の信用力や調達する資金の規模によって『調達金利』が異なります。
低い金利で調達できればその分、住宅ローンの金利を低く設定できるわけです。
また調達金利に金融機関の利益分を上乗せしたレートが、住宅ローンの金利になりますから、金融機関が自分たちの利益をどの程度確保するかによっても、住宅ローン金利は変わってきます。
最近は、ほとんどの銀行が金利優遇キャンペーンを行なっており、新規で借り入れる際には、どうしても優遇を受けた場合の金利(適用金利)のほうに注目が集まり、もともとの金利(店頭金利)の存在を忘れがちになっているようです。
優遇幅をどの程度に設定するかについては、各金融機関の力や、また住宅ローンに対してどの程度力を入れているかによって、変わってきます。
すなわち、資金調達力と利幅の設定、住宅ローンへの力の入れ方によって、住宅ローン金利の水準も違ってきます。
現在のように金利にバラツキが出てきたのは、住宅金融公庫(平成19年に4月に廃止)の縮小により、各民間の金融機関による住宅ローン競争が激化したことに起因するようです。
最近とみに人気が高まっているフラット35の金利は、取扱金融機関によって異なります。
これも公庫が提示するレートに、各金融機関が利益を含むコスト分を上乗せして設定される仕組みで、各金融機関のフラット35への力の入れ方が金利に反映されます。
金利のタイプにより変わるリスクの担い手
一般的に景気が低迷していると金利は下がり、景気が良くなれば金利が上がる、といわれています。
長期金利は、債券市場の影響を強く受けることもあり、景気に左右されやすいという側面を持っています。
長期金利と短期金利を比較した場合、短期金利は、現在の状況がストレートに反映されやすいのに対し、長期金利は、将来の見通しも反映される、という違いがあります。
現時点で決めたレートが長期に渡って続くわけですから、将来、金利が上がっても損しないよう、将来の予測を含めて金利が決められることになります。
変動型や短期の固定金利選択型など、短期金利に連動するローンの場合、「将来、金利が上がるかもしれない」というリスクを借りる側が負わなければいけません。
長期金利に連動する長期固定型ローンの場合、金利が上がった時に、貸す側がリスクを負うことになります。
一般に、短期より長期のほうが金利は高めに設定されています。
フラット35の場合、ローンの債権を証券化して投資家に販売するわけですから、リスクは証券を購入する投資家が負うことになります
気をつけましょう 金利の適用時
フラット35や民間金融機関の住宅ローンの場合に適用される金利は、借り入れ申し込みの際ではなく、ローン契約を結んで実際にお金が下りる「融資実行時点」の金利です(ただし公庫と財形融資では申込時点の金利が適用されます)。
例えば、仮に融資を申し込んだときの金利が2%だったとしても、融資実行時点の金利が2.8%であれば、2.8%の金利が適用されてしまわけです。
ですから、未完成の新築マンション購入など、融資申し込みから融資実行(物件の引渡時)までの期間が長いケースでは、余裕を持って計画することが大切です。
変動金利型のしくみとは
変動金利型は、金利が変動するリスクのあるタイプ、といったイメージがあるかと思います。
ここでは、もう少し詳しく、変動金利型の仕組みについてご紹介しましょう。
変動金利型は、金融機関によって異なる例もありますが、一般的には年に2回、金利が見直されます。
金利が変われば当然、返済額も変わる、と考えてしまいがちですが、多くの金融機関では、変動金利型の返済額は5年間一定にしています。
5年の間には、10回(年2回×5年)分の見直し作業が行なわれるわけですが、5年間は金利が上がっても返済額は増えず、金利が下がっても返済額は減らないのです。
このような仕組みは、日本の金融機関が変動金利型のローンを販売し始める際、半年ごとに返済額が変わるのでは返済する人も戸惑うだろうから、返済額は5年に一度の見直しにしよう、ということに決まったからだと言われています。
金利は変わっても返済額は同じ。そんな無理なことをするためには、返済額に占める利息と元金の割合を調整することが必要になってきます。
金利が上がっても返済額を増やさない代わりに、返済額に占める利息の割合を増やし、元金の返済に回る額が減らされるわけです。
普通は返済回数を重ねるごとに利息の割合が減っていくのに、金利が上がると再び利息の額が増える。つまり、元金の減りが鈍ります。
金利が下がった場合、利息となる額が減り、元金の返済に回る分が多くなります。
変動金利型のリスクとは?
一般的な変動金利型のローンでは、金利の見直しは半年ごとなのに対し、返済額の見直しは5年ごとになっています。
増える場合も前の返済額の1.25倍までという制限付きです。
そしてこのことが、大きな問題になってくる場合があります。
例えば金利が上がった場合、利息に回る額が再び増えてしまい、
前の返済額の1.25倍までという制限によって返済額が抑えられるため、元金の減りがより鈍くなるというようなことが起こります。
そうなると元金の返済が遅れ、利息負担がどんどん膨らむことになってしまいます。
逆に、借入後に金利が下れば、利息部分が少なくなり、元金の減るペースは早くなります。
このように、変動金利型は、金利の行方によって、有利にも不利にもなるわけです。
ですから、リスクを回避するためには、
先を見越しての金融情勢の把握といったようなことが非常に大切になってきます。
固定金利選択型 何年くらいのがベストなの?
都市銀行が扱っている住宅ローンの金利タイプの中で、一番利用率が高いのが固定金利選択型です。
現在、多くの民間金融機関で金利優遇キャンペーンが行なわれています。
条件に合えば、店頭金利より低い金利で借りることが可能です。
金利が固定される期間は、2年、3年といった短いものから、10年、15年といった長めのものまで、様々なタイプがあります。
固定期間よって、金利のレベルが変わってきますので、いったいどのタイプを選べばよいのか、迷ってしまわれることと思います。
そこで、「固定期間の長さによってどんな違いが生じるのか?」「固定期間は何年くらいのものがよいのか?」 いろいろ調べてみた結果、結論は、
返済期間と金融情勢によって変わってくるということがわかりました。
例えば、ある都市銀行の3年固定金利の場合(短期固定の魅力はなんといっても、その金利の低さにあるのですが)、3年固定金利は、1.35%(優遇金利を適用)です。
仮に、1000万円を30年返済で借りた場合、毎月の返済額は3万3796円です。
3年後に適用金利が1%アップ(2.35%)とすると、返済額は3万8260円となり、約4500円の負担増となります。これは、月々の負担が約13%重くなることを意味します。
対して20年返済の場合、当初の負担は大きくなりますが、金利が1%アップした場合の負担増は8%に抑えられます。
このように返済期間が短いほど残債の減り方が早いので、返済額の増え方もゆるやかになるようです。
返済期間を短くするメリットを活かしたいのなら、低金利で固定期間が短めタイプを利用を検討するとよいみたいです。
たとえば3年固定なら、10年固定で30年返済した場合とほぼ同じ額で返済期間を25年にできます。(10年固定の金利は、、借り入れ当初は、2.4% 11年以降は、3.4%です。)
3年後に金利が上がれば10年固定より返済額は多くなりますが、繰り上げ返済によって金利上昇の影響を抑えることができます。
100万円を繰り上げ返済すれば1%の金利アップ、200万円繰り上げ返済すれば2%アップまで、10年固定よりも返済月額を増やさずに済みます。
たしかに固定期間が長いほど、何かと安心ではありますが、
経済的な余裕があって短期で借りることができたり、繰り上げ返済が可能な場合、
短期の固定金利選択型で低金利のメリットを最大限に活かす方がお得であると、いえそうです。
金利の動きを知っておきましょう
金利の先行きを予測することはなかなか難しいようですが、金利がどんな動きをしているかを知るだけでも、いたずらな不安から解消されます。
ここでは、金利の動きと景気との関係について調べたことをご紹介したいと思います。
バブルが崩壊してから90年代の長期不況の間に、金利は下がり続け、最近ようやく景気回復期を迎えて、金利はやや上昇傾向にあるようです。
住宅ローン金利のベースとなる市場金利は、長期金利(10年物国債)と短期金利(短プラ)で、やや異なる動きをしています。
長期金利は2003年以降、明らかに上昇傾向にあるようですが、短期金利は01年以降ずっと横ばい状態が続いています。
このことから、以下のような特徴がわかってきました。
長期金利・・・景気の動向を追いかける形でスムーズに動いている。
短期金利・・・日銀の政策(ゼロ金利政策など)によって動きが制約されやすい。
現時点では、長期固定金利が、上がりはじめている。ということを頭に入れておかれるとよいでしょう。